北海道(知床・斜里岳(しゃりだけ)摩周湖・釧路湿原・霧多布(きりたっぷ)湿原・納沙布(のさつぷ)岬)
 
 4人 2011.07.10-13
7/10  
JR広島駅(7:30)⇒広島空港(8:15/9:05)⇒羽田空港(10:25/11:35)⇒女満別空港(13:15/50)⇒知床ウトロ港(16:10/27)⇒クルージング⇒ウトロ港(17:40)⇒知床プリンスホテル風なみ季本館(17:55)
7/11 
風なみ季本館(5:30)⇒知床五湖(5:50/6:15)⇒風なみ季本館(6:30/8:00)⇒清岳荘(9:20/25)→六合目(10:22)→下二股(10:24)→羽衣の滝(10:51)→方丈の滝(11:10)→竜神の滝(11:26)→上二股(11:57)→馬の背(12:31/49)→斜里岳山頂(13:15/23)→馬の背(13:42)→上二股(14:06)→熊見峠(14:50)→下二股(15:43)→清岳荘(16:36/55)⇒清里温泉「緑清荘」(17:10)
7/12 
緑清荘(5:00)→清里町散策→緑清荘(6:30/8:00)⇒(R391・道道52)⇒摩周湖第三展望台(8:46)⇒JR釧路駅(10:30/56)⇒(ノロツコ号)⇒JR塘路駅(11:40/12:48)⇒(快速)⇒JR釧路駅(13:19)⇒霧多布湿原センター(やちぼうず木道)(15:30/54)⇒琵琶瀬展望台(16:16)⇒霧多布トラストインフォメーションセンター(琵琶瀬木道・中の浜木道)(16:23/45)⇒根室グランドホテル(17:50)
7/13 
根室グランドホテル(5:00)⇒納沙布岬(5:40/55)⇒北方原生花園(6:15/20)⇒根室グランドホテル(7:00/8:00)⇒美幌峠(10:35/11:15)⇒女満別空港(11:45/13:50)⇒羽田空港(15:50/16:30)⇒広島空港(17:50/18:00)⇒JR広島駅(18:45)
 
7/10
北海道の道路は、広くて真っ直ぐなので走り易いが、女満別空港から知床ウトロ港までの約90㌔の道程に、約2時間20分を要した。ウトロ港に着くと、小雨がぱらつき始めてあいにくの空模様になったが、船は出るという。合羽と救命胴衣を着けて乗り込んだ。出港すると、ほどなく岬に沿ってクルージングが始まる。オープンデッキに出てみると、海上は気温が低く風も強いので、合羽を着ていても寒いほどである。船頭の話によると、今日は海の色も暗いそうである。オホーツクの風を体に感じながら世界自然遺産「知床岬」を海から目の当たりにするなんて、そうそうできないのだから、少々のことは我慢しなくてはなるまい。ガスに煙って、羅臼岳などの知床の峰々を眺めることはかなわないが、これも知床の風情と思えば愉快である。男の涙、象岩、カムイワッカの滝など、名勝にさしかかると、船頭はスレスレまで近寄って説明してくれるが、大きくゆれる船からの写真撮影は容易ではない。これらの懸崖は、カモメやウミネコが営巣地にしており、誰にはばかることなく飛翔している。あまり心地良いものではないが、知床の自然を強く感じる。圧巻は、折り返し点の硫黄の滝でヒグマの親子に巡り会ったことである。知床の宿は、オホーツク海を見下ろす高台にあるリゾートホテルで、折よく本館の上部屋が用意されていた。大浴場の湯舟にゆったりと身をゆだねて疲れを癒した後、知床の海の幸、山の幸を肴にいただくビールの味は格別だ。すっかり良い心地になり、部屋に帰って横になると、早々と眠りについた。
7/11
明けると、打って変って好晴である。朝食まで間があるので、女房殿と知床五湖へ行ってみた。(他の二人は朝風呂を選択。) 道道知床公園線は有料道路並みで、行き交う車も殆どなく、快適な林間ドライブを楽しむ。途中、車を止めて青空にくっきり浮かび上がった知床連山の稜線を眺めやり、縦走路に思いをはせる。五湖への進入路はまだ閉ざされており、500mばかり歩く。道端で草を食むエゾシカの横をそっと通らせてもらう。知床五湖には、人をむやみに立ち入らせないための、有料の地上遊歩道と無料の高架木道が整備されている。尾瀬の木道はその逆である。高架木道に入ったが、よい時間になったのでオホーツク海の眺めがすばらしいというオコック展望台の手前で引返した。2日目は斜里岳登山。ホテルを8時に出て登山口のある新清岳荘に9時20分に到着。新清岳荘は、斜里川の支流「チエサクエトンビ川」のそのまた支流「一の沢川」の北側尾根に沿った、未舗装の林道をジッグザッグに上り詰めたところにあった。闊葉樹の中の径を少し行くと林道に出た。林道の終点に旧清岳荘があったらしく、一の沢川右岸に径が続いている。径は間もなく沢沿いとなり、渡渉を繰り返しながら登って行く。旧清岳荘跡から13回渡渉を繰り返して、45分かけて下二股に着いた。ガイドブックには、この間が30分とあるから、平素は達者な皆も沢歩きに思いのほか手間取っているようだ。下二股からは、沢登りがますます本格化して、羽衣の滝、方丈の滝、竜神の滝など大小さまざまな滝が次々と現れる。ヘロヘロになったころ、水量が少なくなり、勾配が緩くなって上二股に着いた。しめ縄が掛って熊見峠への径が分岐している。下二股から上二股までの所要時間90分。ちなみに、ガイドブックには60分とある。うーむ。上二股を過ぎると、径は狭くなるが、水は涸れ草花の数が増えてくるので、苦しいながらも心なし足取りは軽い。胸突八丁と呼ばれる急坂を登りきったところが、斜里岳と南斜里岳のコル「馬の背」である。コンビニで買った弁当を広げて遅い昼食にする。一の沢で楽々と追い抜いて行かれた中年のご夫婦によると、山頂はハエが多くて落ち着いて食べられなかったとか。結果オーライである。ひとごこちつき、身も心も軽くなって登路につけば、高嶺の花々が迎えてくれて、あっという間に頂上に立つことができた。四周を遮るものはなく、斜里平野の麦畑やじゃがいも畑がパッチワークのように広がり、その先にオホーツクの海が広がっていた。ガスに煙っていなければ、屈斜路湖や知床半島まで見渡せるという。帰路は上二股から尾根沿いに熊見峠を経由して、下二股に下った。所々で斜里岳の頂稜を振り返ることができたが、総じて灌木に囲まれて展望はよろしくない。とりわけ、女房殿は熊見峠からの急な下りと下二股からの渡渉の繰り返しが楽しくないらしく、機嫌の悪いことである。少々遅くなったが、無事な下山を記帳して、今夜の宿「緑清荘」に向かう。緑清荘は、昨年の12月6日にリニューアルオープンした清里町営のとても感じの良い宿である。風呂は温泉で、泉質:ナトリウム塩化物泉、泉温:52.9℃とある。斜里岳登山の拠点宿として利用者が多いようであるが、この日は少なく、静かで快適な一夜を過ごすことができた。
7/12
明けて早朝、清里町の町並みを散策。真っ直ぐな広い道路が碁盤の目のように整備され、どの建物も洋風で新しい。釧網本線の清里町駅に寄ってみた。閑散としているが、駅舎の中やホームは小ぎれいに手入れが行き届き、温かい感じがする。街の東側に斜里川を挟んで緑ヶ丘公園がある。広い緑地が整備され、町民の憩いの場になっているようだ。公園を抜けて道路に出ると、一面のじゃがいも畑の向こうに、斜里岳が大きく裾野を広げていた。8時に宿を出発、R391を釧路へ向かう。途中、道道52号線に入り、摩周湖展望台に寄り道。あいにく、霧の摩周湖ではあったが、カムイヌプリを正面に見て、振り向けば硫黄山、藻琴山、屈斜路湖をはじめ、日本一の屈斜路カルデラを一望できるという、絶佳の眺望だ。清里町から釧路駅までの道程は2時間30分。駅の駐車場に駐めることができ、ノロッコ号の出発に余裕で間に合った。ノロッコ号は、釧網本線釧路駅-塘路駅間を運行するトロッコ列車である。湿原の東の端を釧路川左岸沿いに走っている。車窓の景色はまことに雄大であるが、他所の北海道の自然に比べると単調で、期待外れの感は否めない。湿原観光と一口でいっても、何を目的にするかで歩き方も見所も変わってしまう。丹頂鶴を見る、花をみる、バードウオッチングをする、カヌーに乗るなど、目的がはっきりしている場合は、ノロッコ号は止めたほうがよい。塘路駅で下車、塘路湖畔まで足を延ばした。塘路湖エコミュージアムセンター「あるこっと」、標茶町郷土館、旧駅逓など見所はあるが、列車の時間が迫り、郷土館の1階フロアーを見ただけで出る始末。真夏の太陽が照りつける中、駅に向かって汗だくのウォーキングである。駅舎内の「ノロッコ&8001」という喫茶店で食べたヨーグルトの美味しかったこと。普通列車で釧路駅に戻り、R44を霧多布湿原に向かう。茶内
(ちゃない)から道道599号線に入って7㌔ばかり行くと、霧多布湿原を見下ろす高台に霧多布湿原センターがあった。南側の湿原にある「やちぼうず木道」では、クロハナシノブ、エゾムラサキ、エゾシモツケなど水辺の花々、そして「やちぼうず大王」が迎えてくれた。谷地坊主(やちぼうず)とは、泥炭の湿原の中に、カブスゲなどの株がお坊さんの頭のような形で40㎝~50㎝の高さに盛り上がったものである。次の琵琶瀬展望台では、霧多布湿原の中を琵琶瀬川が蛇行する大パノラマを眺める。あいにく太平洋側はガスに閉ざされていたが、贅沢は言うまい。最後に霧多布湿原トラストインフォメーションセンターに寄り、琵琶瀬木道と中の浜木道を歩き、エゾカンゾウ、ワタスゲ、アヤメなどが広い湿原一面に咲き揃う様に、北海道の原生花園の素晴らしさを実感する。満ち足りて宿に着いてみると、名前負けのする(根室グランドホテル)、かなり年季の入ったホテルだ。うーむ、毎度のことながら、日替わりでレベルダウンしている。
7/13
最後の宿泊地根室市は、低平な隆起海食台地で、山岳や大きな河川はなく、市の中心部は高原であるため、穏やかな坂道が多い。市の中核をなしている根室港は、オホーツク海側の根室港区と太平洋側の花咲港区の2港区で構成されており、サンマの水揚げ量が連続日本一となるなど全国有数の水産拠点である。また、ロシアとの物流拠点として重要な役割を担っている。帰りの飛行機の都合で、霧の晴れやらぬ早朝、根室半島を周回した。北海道本島東端の納沙布岬は、だだっぴろいところで、「北方領土」返還を祈念して造られた四島
(しま)のかけはし、灯台、北方館、望郷の家、平和の塔が、閑散とした雰囲気のなかにひっそりと建っていた。四島とは国後島、択捉島、色丹島、歯舞群島のことで、晴れていれば、岬から歯舞群島の水晶島がうっすらと見えるらしい。納沙布岬から半島の北側道路を根室市街方面に11㌔走ったところに、北方原生花園があった。原生花園の中に馬が放牧されているようで、木道入口の扉を開けて中に入ると、木道のあちこちに馬糞が落ちている有様。が、花はそれなりに美しく、ミズナラの風衝林があるのが特徴的だ。ホテルに帰って朝食を済ませ、R243を別海(べっかい)、弟子屈(てしかが)経由で女満別空港に向かう。180㌔近い道程である。美幌峠(びほろとうげ)でトイレ休憩。展望台に上がると、屈斜路湖(くっしゃろこ)と中島が眼下に展開して、摩周湖展望台に勝るとも劣らない絶景である。12時前に女満別空港に到着。空港のレストランで生ビールと海鮮丼を食べながら、無事な帰還を祝う。

アルバム

ウトロ港とオンコロ岩(7/10 16:27)

男の涙(16:35)
   

象岩(16:37)

カムイワッカの滝(17:02)
   

  硫黄の滝とクマさん(17:04)

ウトロ港の三角岩(17:40)
 

クルージング船カムイワッカ55号(17:40)

ゴジラ岩(17:42
   

知床連山 知床公園線より(7/11 5:41) 
 

羅臼岳&三ツ峰(5:41)

道道93号知床公園線(5:42)
 

高架木道からエゾシカを間近に観察(5:58)

知床五湖の一湖(5:59)
 

オコック展望台(6:00)

知床プリンスホテル風なみ季本館(7:40)
   

新清岳荘(9:22)

清岳荘前の登山口で(9:25)
 

羽衣の滝左岸を登る(10:48)

方丈の滝左岸を登る(11:08)
   

竜神の滝下の渡渉(11:26)

竜神の滝右岸を遡る(11:28)
   

上二股(11:57)

馬の背(12:31)
   

斜里岳山頂(13:15)

熊見峠(14:53)
   

旧清岳荘跡・林道終点(16:21)

やっと帰り着いた清岳荘の前で(16:36)
 

清里温泉「緑清荘」(
7/12 5:29)

JR釧網本線清里町駅(5:45)
   

清里町駅待合室で見かけた素敵な展示品(5:45)

秋にはたくさんのサケが遡上する斜里川(5:55)
 

斜里岳 清里町より(6:10)

霧の摩周湖とカムイヌプリ(8:47)
   

釧路湿原 ノロッコ号車窓より(11:30)

二股(釧路川とアレキナイ川の合流点)(11:33)
   

塘路駅ホームでノロッコ号を背に(11:42)

ノロッコ号と釧路湿原 塘路駅(11:48)
   

旧駅逓(12:15)

標茶町郷土館(12:10)
   

霧多布湿原・やちぼうず木道(15:39)

霧多布湿原・琵琶瀬展望台(16:15)
   

霧多布湿原 琵琶瀬展望台より(16:16)

湿原トラストインフォメーションセンター(16:23) 
   

霧多布湿原・琵琶瀬木道(16:25)

霧多布湿原
 中の浜木道沿いのカンゾウ群落(16:38) 
   

納沙布岬四島
(しま)のかけはし(7/13 5:40) 

北方原生花園(6:15)
   

美幌峠 美幌峠展望台より(10:50)

屈斜路湖に浮かぶ中島 美幌峠展望台より(10:49) 
   


軌跡図 
                                                   所要時間:7時間11分、歩行距離:11.37㎞ 

  出会った草花など   

ヤマブキショウマ
(山吹升麻) バラ科

マイヅルソウ
(舞鶴草) ユリ科

ウコンウツギ
(鬱金空木) スイカズラ科 
斜里岳→     

エゾシモツケ
(蝦夷下野) バラ科

トカチフウロ
(十勝風露) フウロソウ科

チシマフウロ
(千島風露) フウロソウ科
     

エゾキンバイ
(蝦夷金梅) キンポウゲ科 

エゾレイジンソウ(伶人草) キンポウゲ科

オオバナエンレイソウ(大花延齢草) ユリ科 
     

ゴゼンタチバナ
(御前橘) ミズキ科

ハクサンチドリ
(白山千鳥) ラン科 

チングルマ
(稚児車) バラ科 
     

ミヤマダイコンソウ キンポウゲ科

エゾカンゾウ
(蝦夷甘草) ユリ科

マルバシモツケ
(丸葉下野) バラ科
     

ウラジロナナカマ(裏白七竈) バラ科

シロバナミヤマアズマギク キク科

キバナシャクナゲ(黄花石楠花) ツツジ科
     

ミヤマオグルマ(深山小車) キク科

シロバナハクサンチドリ ラン科

ミヤマオダマキ
(苧環) キンポウゲ科
     

ヒメイチゲ
(姫一華) キンポウゲ科

チシマヒョウタンボク(瓢箪木) スイカズラ科

バイケイソウ
(梅蕙草) ユリ科 
     

エゾツツジ
(蝦夷躑躅) ツツジ科 

エゾノツガザクラ
(蝦夷栂桜) ツツジ科

ホザキシモツケ
(穂咲下野) バラ科 
  ←斜里岳  釧路湿原 

クシロハナシノブ(花忍) ハナシノブ科 

フタマタイチゲ
 キンポウゲ科

エゾシモツケソウ
(下野草) バラ科 
霧多布湿原→     

ワスレナグサ
(勿忘草) ムラサキ科 

エゾオオヤマハコベ(繁縷) ナデシコ科

エゾフウロ(蝦夷風露) フウロソウ科
     

ハマナス
(浜茄子) バラ科 

ヒオウギアヤメ
(檜扇菖蒲) アヤメ科

ノハナショウブ
(野花菖蒲) アヤメ科
     

エゾカンゾウ
(蝦夷甘草) ユリ科 

ヨツバシオガマ ゴマノハグサ科

センダイハギ
(千代萩) マメ科
     

エゾシシウド
(獅子独活) セリ科

ハゴロモグサ
(羽衣草) バラ科

ハマボウフウ
(浜防風) セリ科
  ←霧多布湿原  納沙布岬 

エゾミソハギ
(蝦夷禊萩) ミソハギ科 

ノコギリソウ
(鋸草) キク科

エゾノキリンソウ(麒麟草) ベンケイソウ科
北方原生花園   北方原生花園 美幌峠